とある日曜日の夜のこと。
ふゆひこは、恵比寿の雑居ビルの階段で途方に暮れていた。
「ぐるナビの地図も住所もここなんだよな………。」
だがしかし。
今立っている階段は電気も点いておらず。
そこに店があることを示す看板も表札も何もない。
あまりに不安になって一度撤退……という感じでビルの外に出た。
そして向かいの道路をわたって振り返ってみると。
「あ。やっぱりあそこが店なんだ。」
ってことが分かった。
見えるのは窓際にあるハロゲンライトと、そこにあるテーブル席のお客さんの後ろ姿くらいなんだけどね。
というわけで再び電気もついていない階段を二階に上がって。
どう見てもアパートの一室にしか見えない扉を開けた。
店 「いらっしゃいませ。」
ふ 「二人なんですが空いてますか?」
店 「空いてますよ。どうぞ。カウンターの席になります。」
ということで、無事に辿りついたのが「CLUB 子羊(クラブこひつじ)」だ。
実は僕が夜運営している貝料理専門店「盆さいや」から駅へと向かう途中にある店で。
その入口の怪しさ加減は以前に何人かのお客さんやら友人から聞いてはいたんだけど。
まさか、ここまでとは思ってなかった(苦笑)。
さて。
案内されたカウンター席に座ろうとしたら。
「パカッ」
座面が外れるではないか!
いや。
正直。
ちょっとびっくりしたんだけど(苦笑)。
どうやら、ここに手荷物やら上着やらを入れるってことなんだね。
変な声を出さなくてよかったよ(笑)。
さて。
席について、まずはドリンクのメニューをサッと眺めて。
とりあえず生ビールを注文した。
本当は瓶ビールで行きたかったんだけど、ドラフトしかないんだよね。
飲みながらメニューを眺める。
基本はジンギスカンの店らしい。
そこにラムチャップと、他に数点の網焼きのメニュー、さらにサイドメニューが10種類くらいという感じだろうか。
そして、それをとりまとめたコースというかセットメニューがある。
なので、その中で一番シンプルなものをお願いすることにした。
ジンギスカンとラムチャップとデザートがついていて。
さらに前菜から一人一皿選ぶという形らしい。
なので、適当に前菜を決めてお願いして。
まずはお通しが出てきた。
キャベツを千切りにしたものに玉ねぎの揚げたのが乗っている。
これに青じそかな?ドレッシングが添えられている。
なので適当にそれをかけていただくことに。
まあ、普通だね。
って辺りで改めて店内を眺める。
本当に雑居ビルの2階。
もともと飲食向けとは思いない物件に換気扇が沢山取り付けられている。
店の真ん中には縦に長いU字型のカウンター。
窓際には4名座れるテーブルが2つ。
照明はちょっと暗めな感じかな。
接客のスタッフが1名で、奥の厨房に2人くらいいそうな気配だ。
なんて思っていると前菜が運ばれてきた。
春菊のサラダ
ザーサイきゅうり
どちらもまあ見た目通りかな。
そして運ばれてきたのがこれ。
ジンギスカン
肉は思ったよりかなり厚切りな感じだ。
さっそくジンギスカン鍋にもやしを敷いて、その上に肉を乗せる。
ちなみに火はガスじゃなくて炭を使っている。
うーん。
ちょっと肉の厚さに対して火力が足りない印象だな。
「レアでも食べられますよ」
という店員の説明だったんだけど、そのレアの状態まででもそれなりに待つ感じ。
まあ、しばらく待って。
焼きあがった肉をたれにつけて頂く。
店名に子羊と謳うだけあって、かなり若そうな印象のラム肉。
ミルキーであっさりな感じ。
逆ににちょっと物足りない感じもあるかな。
で。
この日、ジンギスカンを選んだのは「タレが絡んだ肉をご飯で掻きこみたい!」っていう理由だったのでライスを注文した。
……………………。
その間も肉が焼けるのを待って、焼けたら食べる。
焼く。
食べる。
くらいのタイミングでようやくライスが出てきた。
うーん。
正直、美味しいご飯ではなかった。
すごく残念。
炊飯してからけっこうな時間が経ってるか、もしくは保存していたものを温め直したか。
まあ、でも、タレの味はけっこう強いからそれでご飯を食べるような感じにしたんだけど。
一杯のご飯の量が少ないんだよね。
だからおかわりをもらおうと思ったら品切れとのこと。
うーん。
ジンギスカンでご飯がないっていうのは個人的にはかなりマイナスポイント。
まあ、肉の厚さとかを見ると肉そのものを食べて欲しいってことなのかもしれないけど。
なんてがっかりしている頃に焼きあがったのがこれ。
ラムチャップ
厚切りの骨付き肉。
最初に出してくれたので鍋の後ろの方に置いておいてじっくり焼いた。
15分くらい焼いたんじゃないかな?
これは美味しかった。
さくっとした歯触りの後にムギュッと噛み締める食感。
奥からギュッと旨味が溢れてくる。
で、ふと窓際の先客のテーブルの上を見ると、ジンギスカン鍋が取り外されて網がセットされている。
「ああ。網焼きってそういうことか……。」
と思ったので、なにか頂こうと思った。
壁に品書きが貼ってあったので、品を決めて。
注文しよう………と思ったんだけど。
誰も見当たらない(苦笑)。
基本的に滞在中、店内にスタッフ不在の時間が長かったように思う。
奥の厨房にスタッフがいるジンギスカン屋でそんなに裏に下がっている理由はないと思うんだけど。
で、しばらくして表に出てきたところを捕まえて注文したのがこれ。
ラム肉のトルファンスパイス
サイコロ状にカットされたラム肉にスパイスが添えられてくる。
焼いた後にスパイスをまぶしてくれとのこと。
コンロの上の鍋が外されて網を置いてくれたので。
網が温まるまで待ってからにんにくと一緒に肉を焼いて。
焼きあがった所でスパイスを絡めて。
いただきます。
スパイスはガラムマサラとクミンとトウガラシってことだったので。
ガラムマサラとクミンをメインにかけたんだけど。
なんか、やたらと塩っぱいのはなぜだろう?
全体の雰囲気は悪くないんだけど、そこだけ妙に味が尖ってる感じ。
いっそクミンだけのが美味しかったかな?
なんて思いながらも、量がそんなにないこともあってサクっと食べ終わった。
空になった皿を下げるスタッフ。
そしてしばらくして。
(あれ?たしかセットにデザートがあるはずだよな………。違ったっけ……?)
って思い始めた頃に
店 「デザートをお持ちしますか?」
ふ 「あ。はい。お願いします。」
という感じで出てきたバナナアイスを食べて食事終了。
うーん。
なんだろう。
全体的にもやもやする感じだ。
看板とかなにも出さず営業しているのはものすごい自信の裏返しかと思って期待してたんだけど。
その期待が大きすぎたのかな。
ラム肉の質は悪くない。
ただ、サービスレベルは決して高くないし、ずば抜けて安いという感じでもない。
入り口が分かりづらいから「俺ってこんな店を知ってるんだぜ」っていうのは演出できると思うけど、いざ入ってみたら普通の店っていう感じかな。
むしろ一人でさくっとラム肉食いたいって時の方が使い勝手が良いかもしれない。
なんて思いながら店を後にして。
恵比寿駅へとむかうふゆひこでしたとさ。
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ふゆひこは今、こんなことをしています。
<平日のランチ>
「かいひこ(仮)」
六本木の平日のランチのみの限定営業。
築地で仕入れる魚介のパスタセット
http://r.tabelog.com/tokyo/A1307/A130701/13129406/
<月~土の夜>
「盆さいや」
恵比寿の貝料理専門店かつミニ盆栽の店。
毎日、築地で仕入れる新鮮な貝や魚を頂きながら盆栽を愛でる店です。
http://r.tabelog.com/tokyo/A1303/A130302/13049929/
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